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ブギス族の木造船「ピニシ」(マカッサル観光雑誌より)
・インドネシアへのお土産
今回の再訪で、インドネシアの友人にどんなお土産を準備したら良いか悩んだ。食べ物を持っていこうと考えたが、タイと似たものが多いので困った。加工食品だとハラールが気にかかる。添加物に豚のエキス等が入っている場合などがあり、失礼に当たる。要注意。タイの「モントン」というドリアン品種が人気だと言われたが、バックパッカーの僕には荷物になるし飛行機の中で匂いが嫌われる。(ちなみにタイ語でも使われる「ドリアン」はマレー、インドネシア語からきており、ここが原産地だ)
そんな中、インドネシア人がタイで買っている化粧品があると聞いた。
女性用のフェイスパウダーだった。シーチャンというメーカーが販売しており、美白・肌を明るく見せることへの関心を持っているインドネシア女性の最適のお土産だそうだ。よくわからないけどこれに決めた。化粧品もハラール認定が必要。

・村の変化と女性達
四半世紀の時の流れ。再訪したタカラール県の4つの農村の風景は、「あまり変わってない」という印象が強かった。都市部のマカッサルには確かに大きなモールができたり、観光客を呼び込もうとロサリービーチなどの開発は進んでいたが、田舎は懐かしい姿を残していた。僕自身が久方ぶりの光景をノスタルジックに見ているからかもしれない。旧知の友人たちと出会い、過去の記憶を結びつけようとしている自分がいる。
マグリブ(日没直後の礼拝)。昼の暑さから解放され、人々が軒先に出てくる。アザーン(礼拝時間の呼びかけ)が流れる。子どもたちや女性もモスクに集まる。そのゆっくりとした祈りが、「何をそんなに急いでるのか?」と言わんばかりに聞こえる。経済発展とイスラムは連動している。
よく見ると、女性たちがつけるジルバブも昔は黒一色だったが、今はカラフルだし、巻き方も変化している。若い世代の服装も、トレンドがあるのだろう。戒律を守りながら、どこか「控えめ」なファッションと感じる。無節操に外の文化を受け入れない。ゲストハウスのプールでも衣類を着て泳いでいる小さな女の子。20−30代の親たちも宗教的な教えに寄り添っている。
仏教国タイでは最近、若者たちは肌の露出が多い。山岳民族の娘さんたちがデニムのホットパンツ姿で村の中を歩いている。水掛けまつりではビキニ姿で街を歩く。経済発展につれて独自の文化を何処かに置き忘れたのではないか。と年寄りは考える。
同じASEANでこんなにも違うのか。
・結婚と合計特殊出生率
タイではバンコクから山岳民族の村まで、女性の晩婚率が急速に高まっている。そして合計特殊出生率は最新の情報だと1を切って0.86。日本より低い。僕が知っている高学歴な女性たちは男性と同等に社会進出し、「自分の給与だけで食べていけるし、子供の教育費などを考えると、結婚する気にならない」と口にする。まあ、僕から言わせるとタイはもともと女性が頑張っている社会ベースがあり、釣った魚には餌をやらないいい加減な男性が多い傾向がある。離婚率も高い。女性たちの意識の中には、金銭的優位の男性となら結婚もあるが、自由気ままがいいので独身もありと思っている。スマホで何でもできるような時代が、これを後押ししている感がある。LGBTQという単語もかなり認知されている。当然バンコクのような都会だけではない。チェンライのような地方でもよく耳にする。
インドネシアはどうだろう。ジャカルタなどの都市部では経済的自立とコスト高による晩婚化が進んでいると言われている。田舎では、イスラムが持つ戒律や価値観、さらに家族なつながり強い。4つの村で結婚や子供の数を聞いてみた。
バルガヤ村を訪ねた時、ソソンさんの孫(男)が結婚式を行なっていた。僕が村に最初に訪れた時は、まだ生まれてなかったので25歳以下。やはり、農村部にはまだ、貧困と因習に縛られた早婚傾向があるようだ。イスラム教では、独身主義(禁欲)は美徳とはされていないという。村の中で結婚しない女性はいるかとボントカシ村の女性グループに聞くと、ゆっくり考えている。結婚しないと口で表明する人はいないみたいで、答えが「No」。
インドネシアの統計では合計特殊出生率2.1。人口を維持する水準まで下がっている。
女性グループに聞くと、「子供の数は2−3人が普通。私の親の世代は10人だった」と笑いながら答える。 現金経済の社会となり、子供の数が増えれば、教育費や医療費が増し、生活が苦しくなることを実感している。経済的な判断だという。 中国の一人っ子政策から始まり、タイの避妊促進政策を見てきたが、行政は経済発展のために人口抑制を推進した。しかし、今は自分で子供の数を決定できる時代になっているし、教育と医療がそれを支えている。そのため少子化が進みすぎ、将来の生産年齢人口減や、産業の維持や経済成長が難しくなる問題を抱えるようになった。皮肉なもんだ。
・ゴミ問題
村を歩きながら、気になった点があった。ゴミ問題。ちょうど乾季の終わりなので目立つ。道端にたくさんのゴミが捨ててある。郡長のイッチャンに聞いてみた。「一緒にゴミを拾ったりする活動しているが、一過性の活動になっている。きれいになったすぐ後、夜になるとどこからともなくまたゴミがやって来ている。ごみ収集基地、収集車などの設備が必要だ。しかしこれも住民の協力が必要」と言う。NGOのヌルリンダも地域生活と環境について活動している。「地域内の緑化や清掃をしているが、なかなか意識が変わる運動にならないのよ」。住民への啓蒙はまず第一だという。
25年前もよく言われた。「雨季に入れば、大量の水でゴミが海に流される」多くの人が知っている。しかし、そのゴミは海岸や海洋汚染につながっている。消費経済活動が活発になり、その数は毎年増えている。タイでは少なくなってきたが、「サシェ(Sachet)」と呼ばれる使い切りミニパックがワルン(商店)に並んでる。シャンプーや洗剤、調味料、コーヒーなどが1回〜数回分の小分けにされたプラスチック製の袋のこと。お菓子の袋やサシェがゴミとなって道路にたくさん落ちていた。
・ヘイズ(煙害)
約1週間の滞在を終わりタイへの帰国は、シンガポール経由チェンライ行きの飛行機。一週間に一便、スクート航空が運行している便に乗った。朝7時にマカッサルを出て、昼の3時にはチェンライ到着するタイパの良い空路だ。大きな飛行機ではないが満席。機種はエンブラエル E190-E2、ブラジル製。約100席で2×2。トイレが近い僕にとっては使い勝手が良い。エンジン音も静かだ。
スラウェシ島を出発して、カリマンタン島上空。下を見るといくつかの地点で煙が上がっている。パーム油の原料となるアブラヤシ農園(プランテーション)や製紙用の植林地を拡大するため、火を放って森林を伐採・清掃する。泥炭地に一度火がつくと、地上だけでなく地中深くで数ヶ月にわたりくすぶり続ける。これがヘイズ(煙害)だ。帰国したあと、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ブルネイで数百万人に呼吸器感染症を起こしているニュースを見た。またマカッサルの友人からも空気が汚れているとメールを受ける。自然資源に頼る経済発展も大事だが、環境問題にどのように取り組むかをすべての人が考える時代になったことだけは確かだ。(おわり)
































